27歳女子が婚活してみたけど何か質問ある?

藍沢咲良

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「かすみん、未だに綾瀬くんのこと、って呼んでるんだって。名前じゃなくて」
「……あいつ、引きずってるからな」

ええーっ‼︎爆弾発言。綾瀬くん、かすみんじゃない誰かを引きずってんのね?目を丸くした私の顔を見た怜はしまった、という顔をした。

「あんまり口外しない方がいいやつね」
「ああ。だいぶプライベートな話だからな」
「かすみんですら知らないかもな話だもんね。うん、やめとくわ」
「そうしてくれると助かる」
「聞くと言いたくなっちゃうからね。お味噌汁、まだあるけど飲む?」

静かにお椀を私に差し出した怜は、安堵の表情をしていた。

「──もしかして、綾瀬くんはそのお相手にされてたとか?」
「聞いてんじゃん」

怜は苦笑いしながら、おかわりしたお味噌汁のお椀を受け取った。

「ごめん。でも気になって」
「どうだろうな。その彼女がしていたから佳純さんにも呼んで欲しいか。それとも、その彼女とは違う呼び方を好んでいるか」
「難しいのね」
「案外な」
「男の人って、もっと単純だと思ってた」
「単純?」

言わない方が良かったか。だって怜は、私が狙ってやったことはことごとくいい反応をしてくれるんだもの。

「何でもない」
「唯」
「ん?」
「後で一緒に風呂、入ろうな」

ここしばらく怜の帰宅が遅かったから、一緒に入浴するって、北海道の温泉以来だ。

「お風呂?いいけど。久しぶりだね」

覚悟しとけよ、と小さく低い声で呟いた彼は、お味噌汁のお椀に再び口をつけた。
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