200 / 244
2.
しおりを挟む「怜。会社で、その、惚気てるって……?」
お味噌汁を飲んでる最中だった怜は、盛大にむせた。
かすみんとランチした、その夜。晩御飯を一緒に食べられる時間に帰ってきた怜に、綾瀬くんとかすみんのことを探るべく、聞いてみた、んだけど……。まだむせてる。ちょっと苦しそう。
「ねえ怜、大丈夫?」
彼の後ろに立って背中を軽く叩いた。まだごほごほしてる。
「ん……な、んとか……」
「ねえ怜」
「ん?」
「惚気てんの?」
珍しく眉を顰めて私の顔を見る。怜って、こんな顔もするんだ。初めて見たかも。
「誰から、聞いた?」
「かすみん」
綾瀬か、と小さく呟いた彼はお味噌汁の続きを飲んだ。
「ねえ惚気てんの?」
「……黙秘」
「沈黙は肯定って聞いたことある?」
「うるさい」
怜にうるさいって初めて言われたかも。ずっとスパダリっぷりを発揮してくれてたけど、こういう素が見えるのって嬉しいかも。
「何でそんな話題になった?」
「かすみんは、その……」
「ん?何か不味い話題?」
「綾瀬くんに、その、プロポーズされたいらしくて」
「あー……」
目を逸らした。怜が私に対して、目を逸らさないといけない感じなわけね?かすみんと綾瀬くんは。
「そんなに積極的では無いわけね、彼」
「まあ……その、なんだ」
「歯切れ悪いわね」
「俺から言う事じゃないし、な」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
21
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる