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7.
しおりを挟む「うん。ただ綾瀬くんは怜の会社の方と同じテーブルになると思う」
「別々かあ……あ、でも」
残念そうに窓の外に視線を移したかすみんは、何かに気がついた。
「でも?」
「私、唯先輩の職場組のテーブルになるんですよね?」
「そうなるね」
「じゃあ、あの人達も呼ぶんですか?」
「あー……あのお嬢様方?」
あのお嬢様方とは、我が営業部のお荷物だ。仕事よりも男漁りとメイクにネイルの調整に命を賭けている、あの人達だ。私とかすみんは営業、あの人達は営業補助として書類の作成をよく依頼するけど、ミスが多い。自分で作成した方が早くて正確だから、あまり頼まない。部長には「あいつらに仕事をさせろ」とよく小言を言われるけど、やる気の無い人の育成に時間を割けられる程、私も暇ではない。
「呼ばないと……うるさそうだね」
呼ばなかった場合は紗香並みの嫌味が飛んできそうだ。そう、彼女達は紗香とほぼ同じ人種と推定される性格の悪さだ。
「飲み会ばっか行ってるくせに誰一人として彼氏がいない人達に一泡吹かせられるんじゃないですか?」
「一泡?」
一瞬気まずそうな顔をした彼女は、意を決して私に告げた。
「私も言われてるとは思うんですけど……。あの人達、唯先輩の彼氏なんてモテないブサメンに決まってる、とか言ってたんです」
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