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「浴衣は、俺とお揃いでいいんだな?」
「そうだね。夫婦っぽいじゃん?」

私の肩を、腰を撫でる手付きが段々といやらしくなっているのは、気のせいじゃないと思う。無意識に、私の息が荒くなる。

「予約とか、俺がやっちゃっていい?唯が気に入りそうな所、探してみる」
「怜プロデュースの旅行ね。楽しみにしてる」

ふふ、と笑みを零して彼の顔を見上げていた。言葉を発する度に自然と近づいて、唇が重なった。

怜の唇、気持ちいい。いつも気持ちいいけど、今日は……ううん、今日も。舌を重ねたざらつきが、脳の奥を痺れさせていた。執拗に執拗に、怜は私の唇を、舌を、むさぼった。彼の丁寧な、でも執拗な口付けは、私の身体を虜にするのに有効な手段だった。自分の身体が怜に調教され、怜に依存していくことに恐れすらあった。

私の身体は、こんなに怜に依存していいのかな。私の身体は怜無しでは生きていけないのではないかという疑念すらあった。彼から私の身体に与えられる快楽には、中毒性がある。怜に放り出されたら、暇を出されたら、私は生きていけないのかもしれない。

だから、いつも少し抵抗する。でも、その抵抗は全く意味を成していない。強く抵抗して怜に悲しい顔をされたくない。強く抵抗して、怜が私に触れてくれなくなったら、それこそ私が悲しい。

どうしてこの人が私をこんなにも気に入ってくれたのかは未だにわからない。でも、今のこの幸せが、出来るだけ長く続いて欲しい。
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