27歳女子が婚活してみたけど何か質問ある?

藍沢咲良

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「──旅行?」
「そう。俺達、一緒に遠出したことないじゃん?」

確かに。怜に声を掛けられたあの日。付き合うようになったあの日。気がつけば結婚への道を進んでいると気付いたあの日。

私達は結婚へのテンポが早くて早くて。遠出しようという発想が出てこなかった。遠出よりも同棲する為の引越と、互いの両親への挨拶で忙しかった。

「温泉とかテーマパークとか、どう?」
「うーん……どっちもいいなあ」
「じゃあ両方行く?」
「いっぺんに?それはちょっとハードじゃ」
「じゃあのんびりしたい?」

怜が私の表情を観察しながら考えてくれてるのがわかった。最近忙しかったのと、女子会での疲れを指摘されたのもあって、怜は私を気遣ってくれていた。

「のんびり……したいな。怜と、一緒に温泉、入りたい」
腕にくっついて、彼の顔を見上げた。顔を紅くそめたまま、硬直している。

「怜?」
「唯は本当に……もう」

何か、私、変なこと言ったかな?

「温泉、海鮮が美味しいところがいいな」
「ご飯が美味しいの大事だな」
「浴衣が選べたら最高」
「浴衣……」
「怜、浴衣似合いそうだね。でも浴衣着るなら、色浴衣もいいけど怜とお揃いの温泉旅館の浴衣もいいな」

怜は少し思案しているみたいで静かになった。持ち帰った仕事をしているときと同じ表情だ。
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