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8.
しおりを挟む「百永、昨日話したでしょ。怜の彼女が結婚のご挨拶に来るって」
「それ、彼女っていうよりもう婚約者って言うところじゃない?」
「どっちも一緒でしょ。それより百永、ご挨拶がまだでしょう」
怜のお母さんが百永と呼ばれたお嬢さんに挨拶を促すと、ドアを静かに閉めて私の前まで歩きを進め、やっぱり静かにソファに座った。
「星宮百永です。怜の妹で、水無瀬市立大の1年です」
「一色唯です。製薬会社の営業をしています」
大学1年か。怜の包容力は歳離れた妹の存在があったからなのかな。
「唯さん、兄貴のどこが良かったの?」
初対面でズバッと聞くなあ。さっきのお父さんと同じ質問に、うっかり苦笑いしそうになるのを何とか堪えた。
「包容力、かな。色々、受け止めてくれるんです」
私は27歳。百永ちゃん19歳(推定)となると、私がだいぶ年上だから敬語にする必要は無いかもだけど。でも初対面だからとりあえず丁寧語でいいよね?
「あのチャラ男がねぇ……」
「誰がチャラ男だ。誰が」
お手洗いから戻ってきた怜が百永ちゃんの背後に静かに立った。星宮家の人々は皆さん動きが静かめだ。
「唯が誤解するだろ」
「チャラ男でしょ。やっと最近改心して大人しくなったみたいだけど」
「百永!」
焦る怜と、冷たい表情の百永ちゃん。この二人の空気感はこれが通常営業なのだろう。
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