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4.
しおりを挟む「でも、相手の親の前では話は別。親はね、我が子を大事にしてくれる人と一緒になって欲しいものなの。本当は同棲の話をしたくても、2人ともがその先に結婚が見えてるなら、お試し期間の話はしちゃだめだよ」
「怜の御両親には結婚の話しかしちゃダメだってこと?」
怜が私の両親に挨拶するなら、私だって挨拶に行くのが筋だ。ということは、今度は私がさっきの怜と同じ立場になる。
「我が子が捨てられる可能性なんて見たくないわけよ。だからお父さん、怜くんが結婚したがってるのを知ってから機嫌が良くなったでしょ?」
そ、そういえば……。怜が食い気味に婚姻届を取りに行く話をしたあたりで、父は既に笑っていた。
恋人として付き合うだけなら、お互いの気持ちだけ考えていればいい。でも、結婚が絡むとお互いの家族の気持ちも考えないといけないのか。
ちょっと考えればわかること。当然のこと、なんだけど。でも頭で理解しているのと実際にその立場になるのとでは全然違うということを、今私は実感した。
「はい。これは唯が持っていってあげて。お父さん、あれでも相当緊張してたんだから」
「え。お父さんが緊張?」
ふふ、と母が笑みを漏らす。
「唯から『会わせたい人がいるから予定空けて』って連絡あってから、お父さん、ずっと顔強張ってたんだよ」
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