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2.
しおりを挟む警察官が帰り、怜が部屋の鍵を閉めた。私はローテーブルの前で力無く座っていた。
「唯。疲れたろ」
「うん……。ごめんね、色々紛らわしくて」
健二の侵入を疑ったきっかけが自分にあったという、だいぶ恥ずかしいオチ。思い返せば今朝は少し寝坊して、慌てて準備していて消灯を忘れていた。カレーに至っては、昨日の夜に作って今日も食べる気でいたのを、すっかり忘れていた。カレーが作ってあったから残業していたんだった。
「今から俺ん家行くのしんどいだろ。俺、今日はこっち泊まるわ」
「え、でも。大丈夫だよ?二重ロックしてればよっぽど」
「こんな日に唯を一人にするわけないだろ。なあ」
「ん?」
「俺、唯のカレー食べたい」
「カレー?」
すっっっかり存在を忘れていたカレー。怜が食べるのなら、もっとお肉を入れておいたのに。
「いいの?昨日の残りだよ?」
「2日目のカレー最高じゃん?」
だいぶ遅い時間のカレーライス。いつもならダイエットを気にしてこの時間は避けるんだけど、今日はなんだか食べて力をつけた方がいい気がした。
「んまい」
「良かった」
怜はきっとオシャレなご飯を食べ慣れているだろうと思って、付き合い始めた当初はレシピに頼って作っていた。ビーフストロガノフとか、横文字たっぷりのメニュー。でもいざ一緒に食事をすることが増えると、カレーやハンバーグやグラタン等、小学生が好きそうなメニューを好むことがわかった。それらを出すと、明らかにテンションが上がるのだ。
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