27歳女子が婚活してみたけど何か質問ある?

藍沢咲良

文字の大きさ
上 下
146 / 244

対峙

しおりを挟む

「──では、一色さん。入りますよ」
私が鍵をドアノブに挿すと、カチャ、と無機質な音がした。鍵は掛けてあったらしい。

2人の警察官を先頭に、部屋へ入る。怜と私も、それに続いた。

「……いませんね。気配も感じませんが」
「電気も換気扇も点いていた。ベッドの下は?」
「いませんね。クローゼットも隠れるスペースは無いようです」

クローゼットに服がぎっしり入っているのを見られるのは恥ずかしい。けど、安全には換えられない。

「──となると、ベランダ。鍵は掛かってますね」
「いませんね」
「外に逃げた可能性は」
「鍵掛かってましたからね。一色さん」

警察官が振り向き、私と向き合う。

「今朝、電気を消した記憶はありますか?換気扇を消した記憶も」

あれ……?無い、かも……?

「無、い……です」
「鍋のカレーは作られてから半日以上経っているように見受けられます。ということは」
「現時点で、侵入があったとは考えにくいですね」
「そう、ですか……」

恥ずかし過ぎる。健二が部屋に侵入したと思って警察呼んで。ただ私が換気扇と電気を消し忘れていただけだなんて。

「しかし、今日会社にはその彼は来ている。そして彼は、この部屋の鍵をかつて持っていた。警戒は、続けた方が良いでしょうね」

警戒……。警戒って、どうすれば……。

「そちらの方と、よく相談された方が良いですね。可能なら引越をお勧めしますが。一色さんの安全について、貴方にお任せ出来ますか?」
「はい、勿論」

怜の迷いの無い言葉が、怯え切った心に響いた。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

会社の後輩が諦めてくれません

碧井夢夏
恋愛
満員電車で助けた就活生が会社まで追いかけてきた。 彼女、赤堀結は恩返しをするために入社した鶴だと言った。 亀じゃなくて良かったな・・ と思ったのは、松味食品の営業部エース、茶谷吾郎。 結は吾郎が何度振っても諦めない。 むしろ、変に条件を出してくる。 誰に対しても失礼な男と、彼のことが大好きな彼女のラブコメディ。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

秘事

詩織
恋愛
妻が何か隠し事をしている感じがし、調べるようになった。 そしてその結果は...

お父さんのお嫁さんに私はなる

色部耀
恋愛
お父さんのお嫁さんになるという約束……。私は今夜それを叶える――。

とある高校の淫らで背徳的な日常

神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。 クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。 後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。 ノクターンとかにもある お気に入りをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

処理中です...