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しおりを挟む当時健二の話をよくしていたのは女子会のメンバーだった。今思えば、杏果と舞はまあまあ渋い顔をしていたのかもしれない。唯一紗香は健二の肩を持っていた。紗香は健二と考え方が近いのか、私が健二に振り回されているのを嘲笑していたのか、そのどちらかだったと思う。
後者とするには、あまりにも私の性格がひん曲がっている。恐らく、前者だろう。前者であって欲しい。本当に。
映美には健二の話をする度に「まだ付き合ってたの?」って呆れ顔で言われていた。自分の考え、感覚を否定したくなかった私は「映美は理想が高いからそんなことを言うんだ」と図々しくも思っていた。でも違った。ごめんなさい映美ちゃん。私が逆の立場なら同じこと映美に言ってたわ。
健二は私の黒歴史の象徴だ。3年も付き合っていた人間相手に黒歴史ってね。でも黒歴史だ。別れて何ヶ月も経っていないと言うのに、もう黒歴史だ。私の目が覚めたという事実は喜ばしいのだけど。でも、それは健二と付き合っていた当時の自分を否定するということでもあった。
そしてそれが、その黒歴史の片鱗を、怜に知られてしまった。どんな付き合い方をしていたのか、怜に尋ねられちゃうのかな……?
私という女が、怜にとって実はそんなに価値が高くないということが、バレてしまう。真っ直ぐな愛情をくれるこの人を失うということは、今の私には、すごくすごく怖いことだった。
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