27歳女子が婚活してみたけど何か質問ある?

藍沢咲良

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「あれえ?どうしたんですか?私、ちょっと先輩に話があってえ」

かすみんの声が聞こえた。彼女なりの全力で私の腕を引っ張って、健二との物理的距離を稼いでくれる。

張り付いた彼女の営業スマイルが保たれるのは、あと数秒だろう。そこまでわかっているのなら、動きなさいよ私の足!

もたつきながらもかすみんの導く方向に足を進める。

「今俺が話してんだけど」
苛立ちを隠さない健二が再び私達に距離を詰め始めた。

「仕事の、緊急事態なんです。すみませんが今日はここで」

かすみんが地下鉄の改札方面ではなく、会社の方へと足を向けた。つられて私も会社の方へ向かうエスカレーターに再び乗った。

「先輩、しっかり!まずはエレベーター目指しますよ!」
「う、うん……」

エスカレーターを登り切り、運良く開いたエレベーターのドアへと駆け込んだ。そのままクロセ製薬のあるフロアのボタンをかすみんが押した。

「……ここまで来れば、大丈夫でしょう。社員証が無いと入れませんからね」

クロセのカフェスペースの椅子に2人して座り、やっとひと息ついた。

「あれが、元彼、ですね」
「そう」
「連絡無視した結果、ストーカー化、ですか」
「そうみたい……」

私の顔をしばらく見ていたかすみんがスマホを出した。え、警察?警察沙汰になるの?会社の近くではちょっと……。

「──綾瀬くん?お疲れさま。あのね、緊急の用なんだけど。──星宮さん、まだ会社にみえる?」

え?怜……?怜を、呼ぶの……?
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