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呪いのようなもの

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「どうするんですか」
「全無視一択でしょ」

緊急時の相談。困ったときのかすみんだ。

恋愛絡みの相談は女子会でもするときはあるけど、紗香がいないとき限定だ。紗香が混ざるとまとまる話もまとまらない。

映美はマッチングアプリと結婚相談所の面談とかで忙しいらしい。こないだのマッチングアプリの人とは大丈夫だったんだろうか。

そういうわけで、現在私が頼れる冷静な女子ってかすみんしかいなかった。

「全無視でしばらくはいいと思いますけど。元彼さん、復縁狙ってますよね」
「……無理」
「ええ無理ですよ。先輩は今、星宮さんという無双イケメン彼氏がいるんですからね。ただ……」
「ただ?」
「元彼さん、結構自分勝手な人でしたよね。何で先輩が付き合っていたのかが謎なくらい」

改めて振り返ると、かすみんの言う通りだ。ぐうの音も出ない。二股かけるし束縛するし、遠回しにお金の無心をされたこともある。フルコンボだ。

その当時もかすみんに相談していた。彼女は毎回渋い顔をしていた。女子会でも相談していた。でも女子会ではそれぞれの彼氏を悪く言う事は滅多にないから、健二の理不尽さに気付かなかった。

女子会の面々は良くも悪くもはっきり言うことはあまり無い。紗香がいるからだろうか。それでも舞は私と共に割とはっきり物事を言うようにはなってはきた。

理不尽に慣れるって良くない。じわじわと長い時間をかけて、何なら幼少期から、私は理不尽であることに目をつぶるようになっていた。それが自分の処世術であると信じて。

相手を調子に乗らせて、余計事態が悪くなるという現実。そこからも目を背けることに慣れてしまっていた。


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