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5.
しおりを挟む「ふふっ」
怜に触れていた自分の腕に力を込め、額を彼の鎖骨下に押し付けた。
「唯……?」
「好き」
顔を上げた。未だ赤みの引かない怜の顔を、少し見開いたその瞳をじっと見つめた。
「大好き」
言葉を放つと同時に笑みが溢れた。
──この人になら、心を許してもいいのかもしれない。
「……ん?」
隣で眠っていたはずの怜がいない。情事の後、そのまま眠ってしまった私達はハンバーグを食べられなかった上にお風呂にも入りそびれた。怜、お風呂かな……?怜のシャツを羽織って洗面所に近づくとシャワーの音が聞こえた。
私も、お風呂入りたいな。ぐっすり眠るのは身体を綺麗にしてからがいいよね。
「怜?」
浴室のドアのノックと同時に声を掛けた。シャワーが止まる気配がした。ドアを開けた怜の姿は寝起きの私にはだいぶ刺激的だった。
「唯?起きたのか」
「私も、入っていい?」
「ああ。もうすぐ俺出るから」
「私も一緒に……入っちゃダメ?」
自然と上目遣いになった。一瞬目を見開いた怜は、すぐに平静さを取り戻した。
「唯が、俺と一緒に、入る……んだよな?」
「……お風呂場に怜がいるのに、1人で入るの寂しいなって」
濡れた大きな手が、辛うじて羽織っていた怜のシャツを脱がした。明るい場所で身体を見られるのは初めてのとき以来だ。未だに恥ずかしくて、慣れない。
「あんまり、見ないで」
「唯が俺と入るって言ったんだろ。ほら」
生まれたままの姿で、導かれるように優しく手を引かれ、湯気の立つ浴室に入った。
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