114 / 244
周知
しおりを挟む「──つまり、惚気ってことで、いいですね?」
「かすみん、あの、もちょっと優しい目で……」
ここしばらくの怜との出来事をかすみんに報告していた。というより、根掘り葉掘り聞かれていたと表現した方が正しい。
「これだけの内容だって知ってれば、ランチじゃなくて飲みで聞いたのに。これじゃあ私と綾瀬くんの進展の遅さが際立つじゃないですか」
何も言えない。私だって、短期間でこんなに怜と進展するなんて思ってなかった。何なら付き合った初日の夜の電話で喧嘩しかけていた。
怜のマンションから一緒に出社した日。通常では私が乗ってないはずの東山線の駅で、かすみんと目が合った。家にいた時から変わらず甘々モードの怜が隣にいることに気付いた彼女は、その場では声を掛けずに、会社のあるフロアまで追及を我慢してくれていたのだ。
それはイコール私と怜のやり取りを全部かすみんに見られたことになるんだけど。それはそれで複雑な気分……。
「遅い、わけじゃないでしょ。むしろ一般的というか」
「そうですよ。先輩達の進展が早過ぎるんです。で、いつ同棲するんですか?むしろ結婚?」
「かすみん、話が早い」
「その勢いだったらもう鍵渡されてるでしょ?」
「ゔぐっ……」
サラダのトマトが変な所に入った。ごほごほと咳き込みながら、かすみんの勘の良さに苦笑いしていた。
怜から預かった鍵を返そうとしていた。「それは……唯の鍵。持つのが嫌じゃなければ持ってて」と断固として受け取って貰えなかったのだ。
0
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説

会社の後輩が諦めてくれません
碧井夢夏
恋愛
満員電車で助けた就活生が会社まで追いかけてきた。
彼女、赤堀結は恩返しをするために入社した鶴だと言った。
亀じゃなくて良かったな・・
と思ったのは、松味食品の営業部エース、茶谷吾郎。
結は吾郎が何度振っても諦めない。
むしろ、変に条件を出してくる。
誰に対しても失礼な男と、彼のことが大好きな彼女のラブコメディ。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

家出したとある辺境夫人の話
あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
『突然ではございますが、私はあなたと離縁し、このお屋敷を去ることにいたしました』
これは、一通の置き手紙からはじまった一組の心通わぬ夫婦のお語。
※ちゃんとハッピーエンドです。ただし、主人公にとっては。
※他サイトでも掲載します。



とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる