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7.
しおりを挟む……じゃなくて!怜の掠れ声に聞き惚れてる場合じゃなくて。声が掠れてるなら喉乾いてるかもだから水分用意しないと。私は看病に来ているというのに、もう!
「怜、喉乾いてない?」
「あ……水、欲しいかな」
「取ってくるね」
寝室のドアに身体を向けると、ふわりと腕に包まれた。
「怜……?」
「唯。ありがと。好きだ」
肩を流れる髪に顔を埋めた彼の低音が、私の鼓膜を優しく揺らした。
「私、も……」
「も?」
「好き、かも」
「かも?」
耳元にかかる息と甘くなった声が、私の身体を硬直させる。
「……声は、好き」
「声だけ?」
更に甘い。甘いよう……。これ以上この低くて甘い掠れ声聞いてたら、私の脳内の色んな機能は完全にストップしてしまう。この人の色気って中毒性あるよね。
「──怜、水、飲もう?」
そっと腕から逃れてキッチンに逃げた。落ち着こう、私……。
ねえちょっと!不意打ち!不意打ちのバックハグと耳元にいい声とか。怜は私を倒れさせる気満々でしょうか?
「唯、水は?」
「あ……常温と冷えてるやつ、どっちがいい?」
「冷たいやつ」
はい、と冷蔵庫から取り出した水のペットボトルを渡す。指先が触れた。あっ……とは思ったけど。そこから動けない。
「どうした?」
「な、何でもない」
口角を少し上げた怜が顔を覗き込んできた。余裕だな、この人。私は若干パニックなのに。頬が熱くなるのを感じる。触れた指を引っ込めてリビングに逃げようとする私を、怜はやっぱり甘いままの声で呼び止めた。
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