27歳女子が婚活してみたけど何か質問ある?

藍沢咲良

文字の大きさ
上 下
95 / 244

6.

しおりを挟む

『熱?具合悪いの?』
あの電話の後に体調崩したのか。一人暮らし、だよね?

『食欲無いし、ちょっと動けない』

文字を打つのもしんどいのかもしれない。通話ボタンを押す。

「怜?しんどいとこごめんね。大丈夫?」
「大丈夫ではないな」
声が掠れてる。息も荒い感じがする。

「ねえ、怜って、一人暮らしだよね」
「ああ」
「ご飯とか、飲み物とか、薬とか」
「何とかするよ。大人だし」
「住所教えて。行くから」
「駄目だ。唯に伝染うつしたくない」
「いいから。喋れるうちに住所教えて?私がインターホン押したら、その時は頑張って出てね?」
渋る怜を説き伏せた私は、いつもの何倍かの勢いで身支度を終わらせた。



怜の家は東山線沿いの、静かな住宅街にあった。マンションのエントランスで部屋番号を入力してインターホンを鳴らす。

「はい」
「唯です」
インターホン越しに聴く怜の声は、やっぱりつらそう。無機質な音と共に、マンションの中扉の鍵が開いた。

最上階のボタンを押す。家賃高そう……。いや、分譲なのかしら?

怜の部屋、ここだよね?さっきエントランスで入力した部屋番号は合ってたみたいだから大丈夫だろう。治安の良い地域、駅近、マンションの最上階の角部屋って。そういえば行政書士さんだっけ。行政書士って儲かるのね。

インターホンを押す。……出てこない。大丈夫かな。中で倒れてるんじゃ……?

試しにドアノブに手を掛ける。鍵、開いてる。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

会社の後輩が諦めてくれません

碧井夢夏
恋愛
満員電車で助けた就活生が会社まで追いかけてきた。 彼女、赤堀結は恩返しをするために入社した鶴だと言った。 亀じゃなくて良かったな・・ と思ったのは、松味食品の営業部エース、茶谷吾郎。 結は吾郎が何度振っても諦めない。 むしろ、変に条件を出してくる。 誰に対しても失礼な男と、彼のことが大好きな彼女のラブコメディ。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

家出したとある辺境夫人の話

あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
『突然ではございますが、私はあなたと離縁し、このお屋敷を去ることにいたしました』 これは、一通の置き手紙からはじまった一組の心通わぬ夫婦のお語。 ※ちゃんとハッピーエンドです。ただし、主人公にとっては。 ※他サイトでも掲載します。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

秘事

詩織
恋愛
妻が何か隠し事をしている感じがし、調べるようになった。 そしてその結果は...

お父さんのお嫁さんに私はなる

色部耀
恋愛
お父さんのお嫁さんになるという約束……。私は今夜それを叶える――。

とある高校の淫らで背徳的な日常

神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。 クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。 後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。 ノクターンとかにもある お気に入りをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

処理中です...