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4.
しおりを挟む「え……」
これは、口説き文句というやつか?
「ご飯だけじゃなくて、唯も食べておけば」
「んー……デザート?」
「そう、デザート」
「ふーん……私、そんなに簡単にヤレそうな女なんだ?」
待って。話の方向が、おかしい。不意に口をついて出た言葉に、怜が凍りついたのが分かった。付き合ってるんだから、体の関係はあっても問題無いんだけど。でも……今日の今日だ。怜の言い方が何だか、私には引っかかった。
「そっ……そういう、意味じゃ、なくて」
「付き合ってるんだからそういうことはあっても問題は無いけどさ。でも」
でも、何だ?私、このまま話していたら喧嘩を売ってしまいそうな気がする。
「……ごめん、喧嘩したく無いから切るね。おやすみなさい」
「えっ……ちょっ、唯?」
怜の慌てる声が聞こえた。そのまま通話終了のボタンを押した。
私、可愛くない。付き合った、記念すべきその日なのに。怜は冗談で言ったんだろうに。頭、冷やそう。いやそうじゃなくて。私は、さっさと寝た方がいい。
スマホの電源を切ろうと手を伸ばす。怜から着信が来てる。──今は私、きっと、出ない方がいい。頭を冷やそう。
着信表示が出たままのスマホの電源を切った。真っ黒に沈黙した私のスマホは、何も反応しなくなった。
──さっきまで、幸せだったんだけどな。私達のメンタル的な距離感が、上手く取れない。
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