27歳女子が婚活してみたけど何か質問ある?

藍沢咲良

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「唯ちゃん」
「ん?」
このお店のステーキはニンニクの香ばしい風味がよく効いている。胡椒こしょうも何だか初めて口にするものかもしれない。

胡椒だけじゃない。何か違うスパイスも感じるけど……。何だろう?このスパイスは。

出された料理の味を分析するのは最早癖になりつつある。あわよくば家で再現出来たら、と思ったのが最初だ。

ステーキの味付けについて考え込む私をじっと見つめる彼に気づいたのは、多分少し経ってからだ。

「俺といるのに、考え事?」
キラキラとした微笑みだったのが、むくれた顔になっていた。この人、こんな表情もするんだ。

「あ……ごめんなさい。出された料理の味付けを分析するのが癖になってて」
「味の分析?」
「あわよくば家で再現出来るかな、なんて」
「え、すごい。唯ちゃんコレ再現出来んの?」
「そこまで図々しくないよ。近い味なら何とか……」
「俺、唯ちゃんの手料理、食べてみたい」

手料理か。作るのは簡単だけど。食べるだけ食べてはいさよなら、では無いよね?

「ねえ唯ちゃん。あと何回会ったら俺の彼女になってくれる?」

──口に何も入ってなくて良かった。

「え、えっと……」
言葉に詰まっていると、真剣な表情かおをした星宮さんと目が合った。目が合ったどころじゃない。目を逸らすのは許されない。それぐらいの目の力を感じる。
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