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7.
しおりを挟む「大丈夫?少し顔が赤いけど」
「あ、赤い、ですか?……ちょっと、暑いからかもしれません」
私とは違う方向に視線を投げ、こっちとだけ言って私を左の方向に導く。ビルの日陰になっているところだ。
「ごめんね、地下からは店に辿りつけないんだ。さっきよりはマシだと思うんだけど」
足を止め、繋いで無い方の手の指先で私の頬を撫でる。ねえ、距離感。整ったそのお顔が私の目の前にあるのは、体温上昇の原因に絶対なってる。
心配そうに顔を覗き込んで頂けるのは……ちょっと嬉しいけど。顔が更に赤くなっているのは自分でもわかる。
「だ、大丈夫です!歩いてれば治りますから」
「でも」
「いいから。お店に着けば涼しいでしょ?」
難しい顔をする彼は、少し思案した後、私の髪を首元で緩く束ねて風を通した。星宮さんの指が、私の髪を束ねてるとか。想定を越え過ぎですけれども。
「俺、髪の毛のゴムとか持ってないから。ちょっとは涼しい?」
「……は、はい」
もう、そろそろ心臓が、表情筋が、限界です。通常モードな顔を保つの、そろそろ無理です……!
「星宮さん、もう、その、行き、ま、せんか?私、大丈夫なんで」
「そう?まだ顔赤いけど……?」
星宮さん。思い出して欲しい。自分が無双イケメンだという事実を。さっきから、道行く人の視線が痛いの。痛過ぎるの。これだけ顔キラッキラしたイケメンが女の髪束ねて摘んで首元涼しくしようと奮闘している姿。目立つに決まっているでしょうに。
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