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2.
しおりを挟む「デートか。まあ、デートだね」
「え、歯切れ悪いじゃん」
一瞬斜め上に視線を泳がせた映美は観念して私に告げた。
「私、婚活してんだよね」
「まじ?私もこないだ婚活パーティー行ったよ」
「いやあんた彼氏いるじゃん。結構長い」
目を見開いてまじまじと私を見る。
「別れた」
「え」
「二股かけてやがったから熨斗つけてプレゼントしてやったのよ」
健二と別れた話を映美にはまだしていなかった。この短期間で星宮さんと佐々木さんと──星宮さんが大半を占めるけど──少々濃い出来事があったから、健二のことなんて映美に言われるまでさっぱり忘れていたんだけど。3年も付き合ったのに、私、冷たい?
「そうか、やっと別れたか。そのまま結婚しようとしてたらどうしようかと」
「え」
しみじみとティーカップを口に運ぶ映美のもとに、店員さんがおかわりの紅茶を注ぎに来た。
「映美、何飲んでんの?」
「さっきまでティーソーダ飲んでた。で、これはダージリンのセカンドフラッシュ」
「こちら、全てのドリンクにホットティーフリーがついております」
さりげなく私の目の前にお水とお手拭きが置かれた。お客の会話の邪魔にならない接客ができるお店って、レベル高いよね。
「じゃあ私もティーソーダで」
「かしこまりました」
「正直、釣り合ってなかったよね」
表情変えずにきついことを言うのは映美の通常営業だ。紗香と違って悪意は無い。
「なんてことを」
こんなきついことを言われてももうかすり傷すら無い。私、健二に対してもう未練無いんだな。
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