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7.
しおりを挟む「あれ?もう16時か。ごめんね、この後用事があるから」
「ええ、大丈夫です。陸にいる時間が少ないと大変ですよね」
「そうなんだよ」
言いながら席を立った。2時間弱のインタビューとも面接とも云えそうな、このよくわからないデートは終わりを告げた。
「一色さんは地下鉄?」
「いえ、私はこの後買い物していくので」
一緒に地下鉄の駅に行ったらこの後困ってしまう。
「じゃあここで。また連絡するよ」
営業スマイルで佐々木さんに軽く手を振る。佐々木さんが数メートル進んだあたりで、自分の顔が素に戻ったのがわかった。
通り過ぎる見知らぬ人たちには気づかれないよう、慎重に長いため息をついた。
疲れた。ほんと、疲れた。佐々木さん、疲れる。なんだろう、あの、ずっとドヤ顔されてる感は。海上保安官って体育系が多いとは聞くけど。婚活パーティーでの印象ではもっと大人しい感じだったけど、佐々木さん、本当はオラオラなのかもしれない。
合うか合わないか。現時点での印象では9割方『合わない』に軍配が上がる。また連絡、来るんだってよ。佐々木さんから。私、また佐々木さんとディスられ疑惑の会話をするんでしょうか。
多分佐々木さん、ディスってる自覚無いよね。仮にも婚活パーティーでカップリングが成立した相手だよ?その相手との初デートでいきなりディスりを披露するだなんて危険なこと、普通はしない。ということは、あれは無自覚。
無自覚のディスり。私の直感は黄色信号を灯していた。
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