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しおりを挟む地下鉄水無瀬港駅の構内にあるスタバで休憩した後、あっさりと解散した。水無瀬港線の途中までは一緒に乗っていたんだけど、「ちょっと用がある」とだけ告げられ、彼は西別院駅で降りていった。
あまりにあっけないデートの終わりに面食らっていた私は、そのまま何も言えないまま電車のドアが閉じられていくのをただ見つめていた。
……私、何かまずいことした?今日1日を振り返ってみたけど、彼に対して何か失言したんだろうか?
敬語を一瞬崩したのをすぐに戻したから?でも私、星宮さんにタメ口で喋れるほど心許してない。私達の間に壁は、まだ必要だと思う。まだって何よ。今後そういうお付き合いをするの私?そのつもりがあるの……?
デート、楽しかったけどな。カフェのあと、晩御飯を一緒に食べると思っていたんだけど。
イルカショーの水の臭いがまだ微かに残っていた。本当は、一緒に晩御飯食べたりお酒飲むなら、この臭いを洗い流した後がいい。彼もそう思ったのかもしれない。うん、そうかもしれない。そういうことにしておこう。
今日のデートで私は彼の何枠にカテゴライズされたのだろう?彼女にしたい枠?友達枠?あわよくばセフレ枠?
セフレ枠に甘んじられる程、私はもう若くはない。これでも絶賛婚活中の27歳女子なのだ。
家でお風呂を終えてやっとひと息ついた。何の目的も無くテレビをつける。ぼんやりと旅番組を見ながら、さっきレンジでチンしたチャーハンを口に運ぶ。
手料理食べたいって言ってたな……。料理作るぐらい全然いいんだけど。でもそれにはどちらかの家に行かないといけないわけで。ご飯食べた後に何もしないで「はいさよなら」で終わると思えるほど子どもでもない。
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