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5.
しおりを挟むデートでは、ないぞ。多分……。でも一般的には、男女が2人きりでどこかで過ごすことをデートと呼ぶのは否めない。つまり、今集合場所に向かっているこの私は星宮さんとデートというものをするというわけで。
今日一緒に歩くのがあの無双イケメン。ということは、私だって可能な限り見劣りしない努力はしないといけない。
誰もが振り向くような美人ではない。それは自覚している。女子会メンバーであるところの舞は所謂美人だ。紗香がターゲットにするのを躊躇うぐらいなんだから相当だ。
紗香がターゲットにしたところで舞には顔面偏差値も、口でも勝てない。もちろん、恋愛経験値も舞の優勝だ。そこは紗香でも弁えてはいるらしい。
集合場所は地下鉄水無瀬港駅の改札前を指定された。水族館行って港の辺りをうろうろする感じだろうか。
予定より10分早く駅に着いた。そもそも水無瀬港線は電車の本数が少ないので予定より早く着くか遅刻するかのどちらかだ。
駅のホームからエスカレーターを横目に階段を昇る。昇り切ると改札の向こうに壁際でスマホをいじる星宮さんぽい人が視界に入った。
白いTシャツに黒のパンツ。ラインが綺麗だからかな。シンプルなのに洗練されてる。
……って!私。待たせてる?集合時間間違えた?
歩く速度を早めて彼の元へと急いだ。
「おはようございます。あの、待たせちゃいましたか?」
「おはよう。大して待ってないよ」
「あの、集合時間って……」
「唯ちゃん早いな。まだ10分前だよ?」
その10分前に着いた私を更に待ってた星宮さんは、もっと早く着いていたのか。うーん、無双イケメンってデートの集合ですら隙が無いのね。
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