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しおりを挟む私の悪ノリに星宮さんが問題無くついてきてくれるおかげで、全然注文が決まらない。
顔を上げると、オーダー待ちのスタッフと目が合った。注文をする合図と判断した彼は伝票を手にカウンターの私達の席に近づいた。正直まだ焼き魚か海鮮丼か決まってないけど、スタッフが来れば決まるだろう。
「あ、えっと……鮭ハラスの焼き魚定食でお願いします」
「それ、2つで」
「かしこまりました」
大きな声でオーダーを通す声がお店を更に活気づける。夜はきっと静かなダイニングバーなんだろうけど、こういう昼間の顔って私好きかも。
「よく来るんですか?」
「魚が食べたい気分の日にはね」
「今日はお魚の口だったんですね」
「肉が美味しいところもあるけど。ニンニクを効かせる店だから、午後困るかなって」
その判断は正解だった。私、午後に来客の予定がある。アラサー営業女子の口からニンニクの匂いが漂っていたら。
顔見知りの営業さんだったら笑って突っ込んでくれるかもしれない。でも、気難しい相手だったらニンニクは避けた方がいいのは間違いない。
こういう気遣いできる人なんだ。スマートな人だなとは思ってたけど、やっぱりスマートだ。そうよね、無双イケメンたるもの、気遣いもできないとだよね。
「私、午後来客があったので。ニンニク臭があったら困ってました」
「仕事の後だったら問題無いかな?漫画に出てくるような、でかい肉なんだよ。唯ちゃん、きっと笑うよ」
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