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2.
しおりを挟む肘が……当たりそうだな。カウンターの椅子って、一度座ると簡単に動かせないという難点がある。距離を取ろうと動かそうとすると大きな音を立ててしまう。
その音が露骨に響くから、さっきから必要以上に物理的距離が近い星宮さんと距離を取ることができない。
「メニュー、どうぞ」
ランチメニューをさっと渡すその仕草だけでも、だいぶスマートに見えるのは贔屓目か。多分『イケメンに限る』ってやつなんだろうな。
メニューを手渡されたけど、私だけが読むのは落ち着かず、カウンターテーブルに置いた。自然と2人してメニューを覗き込む形になった。
二の腕があと少しでくっつきそうだし、顔も近いのだけど、ここは涼しい顔をして乗り切らないと冷静さを保てない。
「──ここはお魚がメインなんですね」
「そう。おすすめは焼き魚」
「……ランチメニュー、全部焼き魚ですよ?」
「そりゃ俺のおすすめだから」
「ランチメニューに星宮さんの好みが反映されてるんですか?」
「俺常連だから」
ドヤ顔する彼がおかしくて、全然注文が出来ない。常連なのは可能性あるけど、星宮さんの好みが本当に反映されるということは無いだろう。
金曜夜に出会った彼は色気全開でカッコつけてたけど、昼間の星宮さんは結構面白い人なのかもしれない。友人としてたまにランチするぐらいならいいかも。
「あれ?裏に海鮮丼ランチもありますよ」
「海鮮丼も美味いよ」
「これも星宮さんセレクトですか?」
「そう。俺がリクエストしたやつ」
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