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5.
しおりを挟むまた卓上ベルが鳴った。会釈して『8番の人』が席を立った。
後半戦最後に私の向かいの席に座ったのは、前半戦で特に印象に残らなかった人だった。
「こういうのってまどろっこしいよね」
言いながらメモを渡してきた。電話番号とLINEのIDが書かれている。ええと……?連絡先の交換ってカップル成立した人達だけが出来るのでは?
この人、慣れてるんだな。さっきのおじさまも他の人達も、もしかしたらこうやって運営にバレないように連絡先を交換しているのかもしれない。
何だかな。こういうところでルールを守れるかどうかも人選の基準になるのかもしれない。とは思ったけど。渾身の営業スマイルでにっこり微笑みながら受け取った。
貰えるものはとりあえず貰っとけ。だな。社会見学のお土産に男性の連絡先。いいじゃない。私から渡すかどうかは別だけどね。
再び卓上ベルが鳴る。時間になった。今の人は『5番の人』ね。
「お手元の紙に、カップルを希望する方の番号を書いてください」
カップルを希望する、ねえ……。熱烈に希望する程の人は正直いなかった。この中で選ぶなら、ってことか。
後半戦で話した3人しか、顔と番号が一致する人はいない。しょうがないか。他にめぼしい人というものは、いなかった。
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