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4.
しおりを挟むわかんない。私に公務員で船乗りという職業の知識が無さすぎて、会話してても全然この男性の人となりがさっぱりわからない。
わかったのはこの人が『3番の人』で、船乗りというからにはやっぱり陽に焼けてて、でも腰が低い感じだということだ。
卓上ベルが鳴った。後半戦が始まったらしい。別の男性が私の目の前の席の横に立った。その気配に気付いた『3番の人』は私に会釈して席を立った。
次に座ったのはもう一人の「いいな」と思った人だった。片方が「いいな」と思っている時って、相手も「いいな」と思ってくれている時なのだろうか?
そうか、この人は『8番の人』だったのね。個人情報を守るためかもしれないけど、数字で呼び合うというのは、やはり脳が疲れてしょうがない。
確かこの人、歯科医さんだ。見た目ゴツい髭のおじさま。でも笑うとちょっと可愛い。見た目推定年齢40越え。歯科医さんだったら婚活なんて必要無さそうだけど。
舞が言ってたな。歯科医さんにはチャラい人が多いって。目の前のこの自称歯科医さんは本当に歯科医さんなのだろうか?
「薬品会社なんだっけ。うちの医院にも、もしかしたら出入りしてるかもしれないね」
言いながらそっとメモを渡された。電話番号とLINEのIDが書かれている。あれ?連絡先の交換ってここでしていいんだっけ?
戸惑いながらも目の前のおじさまを眺める。そういえば、この人エレベーターの中にいたな。あのぎゅんぎゅんのエレベーター。同じタイミングでいたということは、時間に対する感覚は近いのかもしれない。
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