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しおりを挟むそう、今日は社会見学のノリで来てたんだった。だったら頑張ってガツガツ行くよりは、今日は受け身でいい。
そもそも、狙いたい獲物を見定める余裕すら無かった。無理に会話して誰がどれだかわかっていないことをバラしてしまうよりは、静かに座って休憩していた方がいい。
誰も声掛けてくれないんだったらそこはそれ。戦略練って、後日再トライすればいいだけのことだ。
開き直って、さっき自分が座っていた椅子で落ち着く。場所は変えてもいいのかもしれない。でも、こういった初めての場所でコロコロと自分の場所を変えるというのは落ち着かない。
会社の飲み会ですら、途中で席を変えるということは苦手だ。できれば一度座ったその席で、その会が終わるまで落ち着きたい。でも隣が嫌な人だったらさっさと動くけどね。
ぼんやりしていたら目の前に男性が座った。前半戦で「いいな」と思ったうちの1人だ。
他に多数座席がある中、敢えて私の目の前に座るということは、ちょっとは私を気に入ってくれたということか。私は初対面の嵐でひたすら混乱していただけだというのに。ありがたいことだ。
この人は確か、私と同じ27歳で、公務員の人だ。
「ええと……公務員やられてるんでしたっけ。どんなことされてるんですか?」
「僕、船乗りなんです」
えっと……⁉︎公務員と船乗りが私の中でイコールにならないんですけれども。ただでさえ疲れた脳が、更に動きが鈍くなる。
「船乗り……ええと、水無瀬港とか、ですか?」
「そんな感じです」
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