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2.
しおりを挟む「んー、別れた」
可能な限りの無表情で答える。
えっ…!と控えめに驚いた表情をして固まっているのは杏果と舞。
「えー、何で?結構長かったじゃん」
ここでも紗香は安定の遠慮の無さだ。まあ、色んな意味でブレないよね。
「27じゃん、私達。何も今別れなくても。上手くやれば結婚出来てたかもしれないじゃん」
予想を裏切らない。この上から目線の薄ら笑い。来ると思ってたよ。
確かに、この4人の中では交際歴が長かった。「唯が一番結婚に近いんじゃないか」って何回か前の女子会で舞が言った時、今世紀最高レベルの不機嫌になっていた張本人はこの紗香だ。
「27だから、だよ。健二の考えの甘さや色んな考え方が私とは合わないっていうか。500円玉事件話したじゃん?」
「ああ、貯金箱ね」
通常モードに戻った舞が顔を顰めた。500円玉事件について話した際、舞と杏果は「もう別れた方がいいんじゃない?」と言ってくれていた。が、紗香は何も言わずに薄ら笑いを浮かべていた。
「あれは、無しだよね。人のお金に手を出すとか、普通に窃盗だし」
言いながら、杏果が手にしたカンパリオレンジを一口含んだ。あと一口で無くなりそう。そっとドリンクメニューを杏果に差し出した。
「ありがとう」
メニューを手にして難しい顔をした杏果に、紗香が「次何飲む?」と顔を近づけた。
「キールってどんなのだろ?杏果頼んでみてよ」
「え……でも苦手な味だったら困るし」
気になるなら自分が注文すればいいのに。
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