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しおりを挟む「……ってわけで別れたんだけどさ。まあ、よくある話だよね」
「唯先輩、そんなクズ、しょっちゅう落っこちてませんて」
黒霧を啜りながら焼き鳥を頬張るかすみん。美人なのに手元がおっさんだ。
「クズか……。そういえば、最後の2、3ヶ月は外食してもお金無いって言われて健二の分まで払わされてたなあ」
「コンプリートじゃないですか。いやほんと、元カノに引き取ってもらって良かったじゃないですか」
二股かけた健二の思い通りに事が進んでいるのが気に食わない……。とは思ったけど、口には出さなかった。
「クズ彼氏の思い通りに事が進んでるのが気に食わないって顔ですね」
「え、かすみんエスパー?」
「バレバレっすよ。でも引き取ってもらって良かったんですって。別れる時にゴネられて、ストーカーになられても嫌でしょう?」
ストーカー……。確かに、健二ならやりかねないかも。私が道ですれ違った男性から視線を送られただけで腹を立てていたぐらいだから。身体の線が出る服を着ただけで機嫌が悪くなっていた。しょうがないじゃん。胸のサイズが人より少し大きいと、オーバーサイズの服は太って見えるのだから。
「もう服だって好きなの着れますよ。先輩スタイルいいんだから、ここぞとばかりに谷間出しちゃえば」
「それはそれで変なのが寄って来そうじゃない?」
胸の大きさなんて平均的で十分。せめて、その辺の下着屋で売ってるサイズであれば不便さを感じないのに。学生の頃よりもサイズの大きくなったこの胸のせいで、見知らぬ人に露骨に胸を見られることが増えた。ただ気持ち悪い。胸の部分だけモザイクかけて歩けたらどんなに便利か。
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