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しおりを挟む「そうだよ。で、亜樹?亜樹はどうなの?」
ついに来たよ?亜樹を吐かせるときが。
「私?私は特に無いよ。……ん、梅サワーも美味し」
「無くは無いでしょ?特別枠はいるってこないだ言ってたじゃん?」
夜は長い。逃がさないよ亜樹さん?
「もう会えない人だから。特別枠から外したくても外れてくれなくてじたばたしてんの」
寂しそうに笑う亜樹に、皆がそれぞれ言葉を探しているのがわかる。
「──特別枠って、桐生くん?」
百永の言葉に、亜樹の顔が一瞬強張った。
「ダメだね。まだ、名前聞くだけで顔が固まっちゃうってね。別れて結構経ってるのに」
「えっと、亜樹……その、もしかして。高校のときの彼氏……とか?」
亜樹に不用意に斬り込んだ者としての責任。とっても聞きづらいけど、聞くよ、私。
「すっごい好きだったんだけどね。私、剣道やり過ぎちゃったのかなあ。俺と別れて部活頑張れって言われちゃって。頭真っ白で、それ以上何も言えなくて。で、それっきり」
何それ。そんな別れ方、忘れられないに決まってんじゃん。
「それ……その元彼、格好いいこと言ってるつもりかもしれないけど」
真希がチューハイ缶を握りしめて呟くように続けた。
「亜樹の気持ちは、考えてくれてないよね」
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