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「──その、こないだは、すんませんでした」

ロミオから私の家に向かう道。2人並んで自転車を押して歩く。予想通り、速水くんは私に謝罪した。

「別に、謝ることでもないでしょ」
「いや、でも」
「私は速水くんと違って薄っぺらい恋愛しかしてきてないからさ」

営業スマイルを維持しながらも、我ながら可愛く無い。可愛げのかけらもない。こんなこと言いたいわけじゃないのに。

「人が謝ってんのに……可愛くねえな」
「可愛くなくて結構。速水くんに可愛いと思われたくて生きてるわけじゃないから」

帰ればいいのに。一触即発の、その一歩手前の私達がこんな真夜中に、道端で口喧嘩なんて近所迷惑極まり無い。

「ちょっと、止まって」
「何」

私の家の前に着いた。彼は自転車を塀の近くに置くと、カゴの中の黒いリュックを開けてごそごそと何かを探し出した。

「これ」

速水くんがリュックから取り出したもの、それは──。  



瓶に詰められた、金平糖。


「え。金平糖……?」
「金平糖だけど。ただの金平糖じゃない」

自転車を道路の隅に置く。速水くんの手から金平糖の瓶を受け取った私は、月明かりに瓶をかざした。

「どう見ても金平糖でしょ?瓶の裏のシールにも金平糖って」
「星」
「え」
「星、捕まえてきた」

星を……捕まえた、だと……?
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