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自分の道って?

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「今は恋愛よりも、自分の道を創りたいんです」

そこそこ混んでる電車に揺られ、ぼんやりと何も見えない車窓を見つめる。地下鉄は便利だけど、景色が見られないってつまんない。

速水くんの昨夜の言葉がずっと頭に残っていた。

自分の道か。それって伊沢くんと別れるのに言い訳になるかな?

やっぱ別れたいのかな、私。そこまで嫌ではないんだけど。でも好きにもなっていないの。なのにお互いを縛るのって何か意味はあるのかな。

が多いから彼氏の有無を聞かれることが多い。彼氏がいないって言うよりもいるって言った方が何となくマウントを上にしてもらえるのは気のせいではないと思う。伊沢くんと付き合ってるメリットってこれぐらい。これ絶対恋じゃない。

何だかな。自分の道を模索してる速水くん。何となくマウントを上にしてもらう為だけに恋ができない相手と付き合ってる私。どちらが人間としての価値が高いかって言われたら……考えるのをやめたくなる。

速水くんが本当にそうちゃんだったら。今の私を見てがっかりするかな?伊沢くんと別れることよりも、そうちゃんにがっかりされる方が、私、嫌かもしれない。

「──桃歌。桃歌!」

大学の最寄り、桜丘駅の改札を出た辺りで私に声を掛けたのは花音だった。
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