星をくれたあなたと、ここで会いたい 〜原価30円のコーヒーは、優しく薫る〜

3.

入ってきたのは私と同い年と思われる女子。……っていうか、今日お友達になった亜樹とそっくりだ。

私と目が合った彼女は目を丸くした。

「えっ……も、もも……」
「桃歌だよ」
「そう、桃歌。え、何？何やってんのここで」
「バイト。受験終わってすぐ始めて……」
「白雪さん！」

栗原さんの声で我に帰る。そうだ、ご案内しなきゃ。

「あ、えっと、こちら奥の席……」
Ａの４人席に案内した私に更に栗原さんが私に言葉を続けた。

「白雪さん、その子、B６で」
「え、でもB６は」

振り返って栗原さんを見ると、彼女は微笑んで亜樹に告げた。

「おかえり、亜樹ちゃん」
「ふふ、無事戻ってこれました」
「え？」

２人の顔を交互に見る。栗原さんは女神の微笑み、亜樹は照れてる感じだった。

「え、亜樹、そういうこと？」
「店長がいいよって言ったらね」
「どうしようかなー？」

いつの間に私の横に来ていたのか。店長がにこにこしながらホットとデニッシュアイスを載せたシルバーを手にしていた。

「店長、お久しぶりです」
「おう。無事合格おめでとう。白雪さんと同じ大学だって？」
「はい、学科も同じです」
「それは良かった。詳しい話するからB６入って？」

店長、面接という名のサボり……じゃない、ティータイム……コーヒーだけど。大学合格お祝いというか、積もる話をするつもりだな？

「混んできたら戻ってきてくださいね」

栗原さんに念を押された店長はまあまあ、と言いながら亜樹とB６の席に収まった。