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Epilogue 1
しおりを挟む鏡に映るのは、純白のドレスに包まれ、メイクを施された私。自分が知っている中では一番綺麗な顔をしている。鏡に映っているのが自分ではないようで、でも自分には違いなくて不思議な気分だ。
結婚式は鷺山か東京か、どちらで行うのか迷った。悠さんの会社のことを思えば東京で行うのが当然なんだけど、私の関係者は東京に一人もいない。自分の結婚式とはいえ、親しい人達に負担を強いるのは気が咎めた。
私達が式を挙げるのは沖縄のチャペルのあるリゾートホテルにした。チャペルからはエメラルドグリーンの美しい海が見える。まさに海の懐に抱かれているような、素敵なところだ。親族だけの式にして、披露宴に近いパーティーを鷺山と東京、それぞれでするつもりだ。
結婚式の直前に親族紹介というものがある。両家の親戚が一堂に集まるのは初めてだ。進行はそれぞれのお父さんだ。悠さんのお父様は一企業の社長だから手慣れたものだろうし、私の父も多分大丈夫だろう。気になるのは、悠さんの和佳子お母様だ。今日いらっしゃるのかどうか、悠さんに尋ねた時には、多分来ないんじゃないか、と言っていた。でも和佳子お母様にとっては唯一の息子の晴れ姿だ。やはり一目見たいのではないだろうか。
でも来たとして。黒瀬のお母様は同席を許すだろうか?親戚一同に自分の夫の愛人の同席を許すなんて、お母様の沽券に関わるだろう。
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