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蜜月 6
しおりを挟む「じゃあそのソフトクリーム食べさせて」
サービスエリアで悠さんが買ってくれたご当地ソフトクリーム。メロンの果汁が入ってて美味しい。
はい、と手渡そうとすると、俺運転中だから、と遮られる。
「美咲が食べさせてよ?」
「悠さん、運転中だからこっち向けないじゃない」
「口の前まで持ってきてくれればいいよ」
言われるがままソフトクリームを彼の口元に持っていく。器用に舌で掬い取るその姿は妙にえろくて、うっかりソフトクリームのコーンが手から滑り落ちかけた。
私は一生、色気過多なこの人に翻弄されるのだろうか?結婚して子どもが生まれても、それは変わらないのだろうか…?
「ん?どうした美咲」
「悠さんって…結婚して子どもが生まれてもこんな感じなのかなあって、ちょっと考えちゃった」
「子どもかあ…美咲との子ども、嬉しいけど、男の子だったら美咲の取り合いになるな」
真顔で考え込むその横顔は相変わらず整っているのに可笑しくて笑ってしまう。
「取り合いって」
「俺だけの美咲じゃなくなるのか…。でも美咲との子ども、欲しいしな…。人生最大の難問だな、これは」
もっととんでもない難問にぶつかってる最中だよね?と口に出しかけたとき、富士山の雄大な眺めが視界に入った。
「悠さん、富士山!」
「お、ついに見えたな」
「ね、悠さん。今日の行き先って…」
「そう、富士山」
「え、登るの?」
「がっつり登山な」
「私達、そんな格好してなくない?私ヒールなんだけど。軽装にも程が…」
「いや冗談だから。河口湖の温泉な。富士山には車で5合目までは行けるから、行ってみようか?頂上まで行きたいなら、また今度本気の装備を整えてから来ような」
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