Emerald

藍沢咲良

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邂逅 2

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ああやっぱり。悠さんの顔が、みるみる険しくなっていく。
「それ、どうしてもそいつと一緒に行かなきゃいけないの?」
「悠さん、仕事だから。担任じゃないフリーの教員で1年生と2年生の授業やってるの私だけだし。私が担当してる2年生の国語で町探検の報告書を書かせる単元もあるし。私じゃなくて他の教員が行く理由が無いし、だからって引率者が鈴木先生1人だけでは不測の事態に備えられないのよ」
「でもさ…。そいつ、美咲に気がある奴だろ?」
「夏に式挙げて今新婚さんだから。あの日は酔ってただけで、気の迷いだってば」
「そいつどうかしてるだろ。俺なら美咲と式挙げるってのに他の女の手首なんか掴まない」
さっきからずっとこの調子だ。

「あのね、悠さん…」
「何」
まだ不機嫌だ。
「ゴッホの池に行こうが行かまいが、職員室の机は私、鈴木先生と隣同士なの」
「は?」
更に険しくなった。今までで一番怖いかもしれない。職員室の机列については余計な話だったかもしれない。でも、もう後の祭りだ。
「何で今まで黙ってた?」
「言う必要無かったでしょ?」
「いやあるだろ」
「言ったら悠さん、機嫌悪くなるじゃない」
「ああ、最高の気分とは程遠いな」
言わなきゃ良かった。町探検の件は言うべきだったけど、職員室の席については黙っておけば良かった。
「私…鈴木先生と席は隣だけど、悠さんに対してやましいことは全く無いの。私は、悠さんだけのもの。そうでしょ?」
悠さんの胸に抱きついて背中に手を回した。上目遣いすれば何とかなるかな?
「ああ…。美咲は、俺だけのものだ」
「鈴木先生とは、何も無いの。だって私、悠さんしか見てないもの」
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