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覚悟 6
しおりを挟む朝食の時間に間に合ったのは奇跡だろう。悠さんはあれから、朝食の時間を気にする私をなかなか離してくれなかった。
鷺山に戻ったのは夕方だった。悠さんがマンションの鍵を開けて、続いて私も入る。私達の生活の匂いに包まれる。日常に戻れるってこんなに安心するんだな。晩御飯は高速のサービスエリアで済ませてきた。私は明日休みだけど、明日すぐ仕事の悠さんのために、朝食の味噌汁の準備ぐらいはしておこう。
『元気?私明日勤務午前だけなんだけど、美咲どう?ランチしようよ』
大学で仲良くなったすみれからメッセージが来ていた。久しぶりだな。私が水無瀬の学校を辞めて、のんびりしていた頃、すみれだけは変わらず連絡をくれていた。私が知る限り、すみれは変わらず水無瀬の小学校で勤務しているはずだ。
『久しぶり。私、明日は休みにしてあるから水無瀬行くよ。ランチ、どこにする?』
『ミリノヤは?駅ビルの』
ミリノヤとは、イタリアンのビュッフェがお手頃価格で食べられるお店だ。
『わかった。何時?』
『私、12時にはお店に着けるよ』
『じゃあ私、早めに行って席取っとくね』
お風呂のお湯をセットしながらすみれとメッセージのやりとりをしていると、洗濯物を片付けに来た悠さんが不機嫌そうにしている。
「悠さん?」
「美咲、さっきからスマホ弄ってばっかだな」
「え?」
戸惑っていると、冷たい視線を私に浴びせ、手に持っていたスマホを取り上げて洗面台に置いた。
「誰?男?」
壁に追いやられてしまった。これ、壁ドンってやつ?
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