Emerald

藍沢咲良

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静黙 5

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「はい、納豆。さあ、悠さん…」
「納豆はよく混ぜないとな」
やたらと真剣な顔付きで納豆を掻き混ぜ始めた彼に、やんわりと私は苛ついてきた。

「悠さん…私そろそろイラっとしちゃいますよ?」
「美咲。美咲が報告を受けるって時点で、何となくわからないか?」
私の怒りの予感を察知した彼は、ようやく口を割る気になったらしい。

「私が報告を受ける…。私の、知ってる人ですか?」
「そう」
不意に、終業式後のランチを思い返す。
扇風機の風に舞った伝票。重なった手。


「え、えっ…⁉︎」
「お、気付いたか」
納豆をまだ混ぜている彼は目を丸くする私を満足気に見た。もう3分以上混ぜているのではないだろうか。
「えぇっと…あ、だち、先生?」
「そう、柿小の先生。名前は俺わかんないけど」
「眼鏡掛けてる方?」
安達先生は眼鏡を掛けている。白井先生はコンタクトの人だ。
「ああ、眼鏡掛けてるって言ってたな」
「じゃあ、安達先生だ…」
驚いた。彼氏募集中とは言ってたけど、まさかKURUMIの店長である勝雄さんがその彼氏になるとは。

そうだ、予兆はあったんだ。あの後、安達先生はぼうっとしていて。勝雄さんも同じだったのね。
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