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約束 3
しおりを挟む「悠さん…。婚約、するの…?」
私の放たれた言葉を聞いた彼は顔が強張った。
「誰が…そんな事…」
悠さんが誰かと婚約してしまうかもしれないという可能性がゼロではない、という事実がある事に、私はショックを受けた。嘘じゃ…無いんだ。ただの、嫌がらせじゃ、無かった…。
「マンションのエントランスに…悠さんのお母さんが、いたの…。悠さんはどこかの令嬢と婚約するから早めに別れてって…言われた…」
最後の方は嗚咽が漏れてしまい、言葉にならない。
悠さんは長い溜息をつくと、私に向き合った。
「政略結婚、だよ。美咲と出会う前に、そういう話はあった。その当時は断ったし、今は美咲がいるから勿論美咲じゃない人となんて婚約するつもりはない。ただ…」
私から一瞬目を逸らし、額に手を当てた。
「母親にとっては、俺が政略結婚した方が都合が良いらしい。最近母親からの電話に出なかったのは、それ。そういう話題を美咲に聞かれたくなかったからなんだ」
そっと近付き、抱き寄せられた。
「嫌な思い、させてごめん。でも、俺、美咲としか結婚したくないから。違う女と婚約なんて、死んでもお断りだ」
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