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白南風 5
しおりを挟む「離してください」顔を上げてもう一度言ったけど、その手から力が緩められることは無い。酔いはもう覚めたように見えるけど、真っ直ぐな視線はさっきと変わらない。
「鈴木先生。もうすぐ式挙げるんですよね?」
「……ああ」
「だったら。私の手首を掴んでいる場合ではないと思います。私だって今のこの状況、彼に見られたら困ります」
「ごめん。でも……」
でも、何だろう。私は今まで、鈴木先生を惑わせるようなことをしたことが、言ったことがあったのだろうか?私はただ平和に仕事がしたいだけなのだけど。それ以上のハプニングは職場に求めていない。
「何か、惑わせてしまっていたのなら謝ります。私には……彼だけなんです。」
手首が解放される。失礼します、とだけ言ってエントランスを出た。
エントランスを出る。長身のシルエットに顔を上げると愛しい彼の姿があった。
「美咲」
すぐに腰を抱かれて歩き出した。
「…結構、飲んだな?」
「へへ…たまには、いいでしょ?」上目遣いでくっついて言えば、優しく許してくれる傾向があると最近気付いた。
「美咲。その視線で俺を見れば許されると思ってるだろ」
「ゔっ…ばれてましたか」
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