110 / 237
暁天 1
しおりを挟む桜汰には接近禁止令が改めて出された。違反をすれば検挙を希望していることも伝わったらしい、という連絡が警察から来たのはそれから3日後のことだった。
これできっと、桜汰からは解放されたのだと思う。
ということは。
私が悠さんの家で暮らす理由が無くなってしまう。
「悠さん」
夕食を終えて片付けをしている私を背後から包む彼。
ん?とだけ言って私の作業の効率を落とし続けている。
「桜汰に、接近禁止令が改めて出たそうです。だから多分…もう大丈夫だと思います」
「そうか」腕に力を込められて、食器についた泡が濯げない。
「ねぇ悠さん、洗い物、途中だから…」
彼の顔がある方を向くと、そのまま唇が重なった。啄むように、何度も。
ガシャン!!
泡がついたままの食器を滑らせてしまった。
良かった、割れてない。
「ごめん…」罰が悪そうに悠さんは腕を緩めた。
手早く食器を濯いで彼に向き合った。
「ここでお世話になる理由が無くなりました。私、近いうちに、ここを出ようかと思っています」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
16
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる