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薄日 8
しおりを挟む悠さんとはあの夜以降、定期的に会っていた。
週末にあの居酒屋で一緒に飲んで、マンションまで送ってもらう。身体を重ねたのはあの日だけだった。
私達の関係に名前を付けるのは先送りにしていた。
多分私は、悠さんが好きなんだと思う。
でも今は、今の関係性を保ちたい気もしていた。
その日も大将の料理に舌鼓を打って飲んでいた。
チャンジャは辛いけど、やみつきになる美味しさだ。
「そういえば、かっちゃんが美咲が全然来てくれないって嘆いてたよ」
「お昼ごはんはいつも給食だから…。平日ランチは夏休みまでお預けですね」
「夏休みでも仕事あんの?」
「非常勤のままなら無かったんですけど。私、来月から常勤になったんです」
「来月?すぐじゃん」
「慢性的に人手が足りないんですって」
1杯目はいつもビールで。2杯目以降は彼は焼酎か日本酒、私は梅酒かハイボールを頼むことが多い。
「もうそろそろ烏龍茶にしたら?」
「悠さん、過保護です」
私のジンジャーハイボールはまだ半分以上グラスに残っている。
「沢山飲んで、また俺ん家に来てくれてもいいけど?」
「大将、烏龍茶ください」
大将は静かに頷く。
「私、叔母さんのマンションを出ようと思ってます。常勤のお給料だったら、問題無く暮らせていけるんで」
「…あいつは?もう何も言ってこないのか?」
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