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薄日 7
しおりを挟む「柿山小には、慣れましたか?」
「はい。お陰様で、楽しく授業させていただいています」
「では…辞表書きましょうか?」
「ええっ⁉︎私何か失礼をしましたか?」
血の気が引く。知らない間に、私は何をしでかしたのだろうか?校長の微笑みが変わらないのが逆に怖過ぎる。
「非常勤の辞表を書いて、常勤で柿山小で勤務をするというのは、出来ませんか?」
「あ…常勤…ですか」
心臓に悪過ぎる。
「鷺山市は慢性的に常勤が足りなくてね。我が柿山小も多分に漏れず、人手が足りなくてね。結城先生がこのまま柿山小で常勤になって貰えると助かるのですが…」
「常勤…なるとしたらいつ頃からになるのでしょうか?」
「本音を言えば明日から…と言いたいところですが、色々と事務的な手続きがあるので。来月の1日からでどうですか?」
「来月の1日…割とすぐですね?」
「校務分掌の割り当ては教務と教頭に割り振りを伝えておきますので……結城先生」
校長の微笑みががニヤリとしたものに変わる。
「はい」
「非常勤、物足りなかったんじゃありませんか?」
「…はい、実は」
「貴方は担任をやった方がいい。今年度はもう始まってしまったからフリーでしか出来ませんが、来年度は担任も視野に入れて貰えると助かります」
いつもの微笑みに戻った校長は善は急げと私に非常勤の辞表の様式と常勤の登録書類を渡した。
校長の目の奥が光っていたのは気のせいだろう。
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