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飛湍 8
しおりを挟む悠さんも私の隣に座る。
ふわりと同じシャンプーの香りがする。
「いや、だったら、俺が床で寝るよ」
「悠さん、今日お仕事だったでしょう。ベッドで寝ないと疲れ取れませんよ?」
「美咲だって、床で寝てたら疲れ取れないだろ?」
互いに譲らない。このままでは寝られなくなってしまう。
「じゃあ…一緒に寝ます?」
「それは…」
「こないだも一緒に寝てたでしょう?問題無いですよね」
「今は俺、襲う自信しか無いよ?だから、ベッドは美咲が使って」
「じゃあ、襲わないように耐えるか、私を床で寝かせてください」
「襲わないように耐えるって…美咲、結構鬼だな」
そう言いながらも、悠さんの声が何だか甘くなっている気がする。
「今はその、悠さんとそういうことをする時ではないと思うんです。でも、悠さんに床で寝てもらう訳にもいかないし」
彼は横を向いてため息をつくと、私に向き合った。
「わかった。俺の我慢強さ、見せてやるよ。美咲、ベッド入って」
さっきまで入ってたベッドに体を沈める。しばらくベッドから出ていたから体がすっかり冷えていた。
悠さんがベッドに入り、体の左側全身が彼に触れる。
「このベッド、もっと広いと思ってました」
「美咲、湯冷めしてないか?体が冷えてる」
抱き寄せられ、布団にも彼の腕にも、すっかり包まれてしまった。
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