原価30円のコーヒーは、今日も薫る。

閉店後のお楽しみ 3

「みんなよく見てますね…」
咲妃は周りにバレないよう努めていた。
それでもわかってしまうものらしい。

「木下さんは？相変わらず彼氏とは順調なの？」
「はい。特に変わらずです」
木下さんは高校から付き合っている彼氏がいるらしく、もう長い付き合いらしい。

「栗原さん、さっきなかなか帰ってこなかったよね」
「え？さっきとは…？」
「小川さんに忘れ物届けた時」
小川さんから濃厚な口づけをされてたのは勿論内緒だ。
咲妃の顔が赤くなる。

「栗原さん、分かりやす過ぎでしょ」
店長が煙草をふかす。

「業務に支障の無い範囲でね」
「はい…」

ロミオの店長含め３人。
他のスタッフも実はあまりコーヒーを飲まない。
それでもこの空間が好きで、今日も守り続けている。



完


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