上 下
49 / 76

潮騒 8

しおりを挟む
チャンスが巡ってきたようだ。

応援団が応援ソングに合わせてバットを叩く。

咲妃と小川さんも一緒になって叩いた。

店内を見ると、他のお客さんも一緒になって叩いていた。

この一体感は高校の体育祭ですら感じられなかった。

そうか、野球好きな人しか来ないもんね。

野球が好きな人達の、独特の一体感に咲妃は新しい刺激を感じていた。

試合は、地元の球団、咲妃達が応援していたチームが勝った。

「勝つと嬉しいですね!」

「でしょ。栗原さん、勝利の女神だな」

「大げさですって」

ドームから駐車場への道で、咲妃と小川さんは興奮気味に話していた。

無意識のうちに2人の手は繋がれていた。
しおりを挟む

処理中です...