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恋い恋いて 3

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その男女は1時間半程店内で話していた。

ミックスジュースの女性が途中、何度か泣きそうになるのをおさえているようだった。

コーヒーの男性は女性を熱っぽい目で見ていた。



ハァ、ほんと、お熱いわ…。

あの席の辺りだけ、冷房強めてやろうか…?

隣の席の灰皿を取り替えていると、彼らは席を立った。

「ありがとうございまーす」

大きめの声で定型文を口にしつつ、咲妃はレジに向かった。

レジで女性がお財布を出すと男性が制した。

お代は男性が出した。

「ありがとうございましたー」

会計を終えると、女性は男性の指に自分の指を絡めた。

女性の左手の薬指には指輪が。

男性の左手の薬指にも指輪が。

あれ?これ…?

まずいやつじゃないか…?
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