地球人のふり

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第2章 特殊能力取締局

8話

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「待ってください!
私は手紙を受け取ってすぐに返事をしました!
こちらに返事が届くまで時間差があったのは、配達が遅れたとか、そういうのが原因じゃないんですか!?」




「理由は何であれ、返事が遅れたのは事実です、
あなたが隠蔽しようとしなかった証拠もありません」






私が隠蔽した証拠だって無いじゃない、





キヨは内心そう思ったが、




部屋のあちこちに立っている
がたいの良い警備員の様な人達





私の事を警戒した目で睨んでる、





反抗して暴れだすとでも思われているのかもしれない、





キヨは、抵抗したことにより罪が重くなる事を恐れた。






「………」







大人しく黙るしか無かった。



じっと俯くキヨを見て
女性は再び口を開いた。






「素直でとても助かります。
残念ながらもう刑は決定しました、
しかし正直な所、あなたの特殊能力獲得法違反に関しては私も同情の気持ちを持っています、わざとでは無いのは確かでしょう」







好きでこんな風になったんじゃない







先ほどキヨが訴えたこの言葉







無視されていたかと思ったが、
女性の耳には届いていたようだ。











「なので特別に、この星での記憶を全て持った状態での地球への移住を許可します、
記憶だけではありません、
我々サンコ星人がもつ体質…といいましょうか、能力などもそのまま、
この星の文字も読めるので、いざとなればこちらとなんらかの形で連絡も取れるでしょう」









私への同情により



刑が少し軽くなることを一瞬期待したキヨ







しかし地球行きは変わらなかった









記憶がそのまま?
能力がそのまま?







それがなんだと言うのだろう






逆に酷ではないか






この星の記憶があるまま

帰りたい帰りたいと考えながら地球で過ごさなければならない





全て記憶を消された方がまだ楽な気がした。










「地球へ産まれ落ちた瞬間、あなたは全ての記憶を失っています、
しかし成長すると共に記憶が少しずつ蘇り、いずれは全て取り戻します、
我々からの指示なども全て思いだし、
あなたは刑を全うするのです」





「…私は、地球で何をすればいいんですか?
私の刑とは、具体的にはなんですか?」








さっきから地球へ地球へとばかり言われて

何をしに地球へ送られるかが何も分かっていなかった、



ただ過ごせばいいのか


それとも何か課題があるのか



キヨにはまだ何も知らされていなかった。









「あなたは、地球で自分の能力を見つけてきてもらいます、
地球で沢山の試練を受けた後、あなたは必ず成長しているはずです
地球には我々のように能力を持つ者はほとんどいません、
他の者の力に何も影響されないまっさらな異星でなら、あなたの能力も開花するでしょう」






"成長するはず"

"開花するでしょう"








とても曖昧だとキヨには思えた




絶対では無いのだ




地球に送られたからと言って
必ず力を得られるわけではないのだ、






おそらく
力を得る事より、
地球で試練を受けることが刑のメインとなるのだろう、


キヨは察した。























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