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第10章 後輩君の失恋
57話
しおりを挟む「彼氏と喧嘩でもしたんすか?」
「喧嘩…というか…価値観が合わないというか……彼氏の方が立場が上になりすぎて逆らえなくて……逆らうとすぐキレるから…」
「DV!?」
「…いや、そこまでじゃないと思う、暴力は振るわれてないし、
とにかく言うことを聞かないと怒るの、
連絡頻度とか服装とか、全部彼氏の好みにしないと機嫌が悪くなるの、
ちょっとでも違ったら怒るし馬鹿にしてくるし……」
後輩君は、私の話を真剣に聞いてくれた
よく考えたら
彼氏君の事をこうして誰かに相談したのは初めてかもしれない。
「…モラハラでしょそれ、
モラハラっぽいっすよ、ヤバイヤバイ別れましょう花さん」
「え……そうなのかな」
モラハラ……って最近よく聞くけどどんなんか分からなかった…
これモラハラなの…?
「彼女が自分の好みの服装してないからって押し付けるのはおかしいっすよ
こんなのもあるよって提案するだけなら分かるけど押し付けて断られたらキレるとか精神的なDVっすよ」
「……でも私、確かに服のセンスとか無いし、彼氏から求められる服装の方が世間一般的に見てまともな服装なのかもしれない…」
「仮に彼氏の言う通りの服装や言動にして、
世間からも認められて彼氏も大人しくなっても、自分を見失ったら意味無くないっすか?
自分の世界を抑えることで成り立つ幸せは幸せじゃないと思います、僕なら嫌です
そもそも先輩の服装特別変じゃないし」
…自分を見失ったら意味がない…か…
確かにそうだ、
彼氏君が私に求める服装、髪型、言動
本気で頑張れば
要求通りの姿になれる
彼氏君の理想の人間になれる
そうなれば彼氏君も怒らなくなり、平和になる、
怒られないし説教もされないし
平和で楽で幸せ…と思うかもしれない
でもそんな、"他人に作られた"感満載の自分になって手に入れた幸せは本当の幸せなんだろうか、
ある程度相手に合わせるのは大切かもしれないけど、
全てを合わせて自分を見失うのはどうなんだろうか、
そもそも耐えられるのか
そのまま結婚しても
数年後にぷちっと限界が来るかもしれない。
自分の全てを捨ててでも一緒にいたいと思えるほど、
彼氏君に価値はあるか??
無い
無いんだ。
「…ありがとう、後輩君、
なんか背中押された気分
別れるか迷ってたけど、だいぶ自分の中で気持ちが固まってきた」
「どういたしまして、
僕も先輩にガツンと言われてちょっと目が覚めました、ありがとうございます、
今も香水臭いですか(笑)?」
「んー分かんない、会社でよく一緒にいたから鼻が麻痺してきたのか最近よく分かんない(笑)」
こうして私達の愚痴大会は笑顔で幕を閉じた。
思いきって相談してみてよかったな、
彼氏君と別れた訳じゃないし
まだ悩みはあるけど、
ちょっと心が軽くなった
気持ちも楽になった
目の前が明るくなった、
良い気分で休日を迎えられそう
明日明後日何しよう
今はあんまり遠出できないから
家で色んな映画のDVDでも見ようかなあ。
まさか明日あんなことになるなんて知らないで
私は呑気に休日の予定をたてていた。
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